主な収蔵作品

宮脇愛子*

MIYAWAKI Aiko, 1929-2014

東京に生まれる。幼少時を熱海で過ごす。1952年、日本女子大学史学科卒。53年、文化学院美術科に学び、阿部展也、斎藤義重に師事。59年、インド経由で渡欧。以後、ミラノ、パリ、ニューヨーク、東京を中心に制作、展覧会活動を展開。67年のグッゲンハイム国際彫刻展買い上げ賞のほか多くの賞を受賞。作品自体は、初期に制作されたマチエール重視による質感の強調と不定形態の反復が一体となった平面作品から、真鍮のパイプやガラスを使用した立体作品、そして近年のステンレス・ロッドによる「うつろひ」シリーズにいたるまでいくつかの変遷を経てきた。2001年、当館で「特別展示 宮脇愛子―《うつろひ》へ」開催。

《うつろひ》Utsurohi

*画像はありません。

1992(平成4)
ステンレス・スティール
500.0×1500.0×3000.0cm 

1978年、宮脇愛子はパリの装飾美術館で開催された「日本の時空間ー間」という展覧会において"UTSUROHI"(A Moment of Movement)という作品を発表する。この時点では真鍮製のロッドを用いて制作されていたが、後にそれはステンレス・ロッドにかわり、より宮脇のイメージに近い作品となっていった。なぜならこの一連の「UTSUROHI」シリーズの発想は、素材からではなく「空に線を描く」という作者のイメージの延長線上にあるのだから。
本作品は、22台の基点(ベース)から伸びる29本のステンレス・ロッド(13m×径14.5mm-3本、10m×径2mm-6本、10m×径10mm-7本、9.5m×径8mm-13本)で構成されている。水面からワイヤー・ロッドが出る形の作品は当館の他、奈義町現代美術館(岡山県)にもみられるが、本作品はウォーター・フローの池の中に設置され、鏡面のような水面にその姿を映し、たゆたうそのさまは、屋外彫刻という条件を思う存分利用し尽くしているといえるだろう。
作品タイトルである《UTSUROHI》の解釈は、「移ろい」、「虚ろい」、「映ろい」、「空(うつろ)」、「洞(うつろ)」、「器(うつわ)」と多々あるが、群馬の森の四季と時のうつろうさまと、ときに小鳥がとまり、吹きくる風にゆれるその形態は、森の空気のなかにしなやかでさわやかな旋律を奏でている。