コレクション展示:上州の山を描く
群馬県は関東平野の北西部に位置し、日本最大の平野から北部の標高2,000m級の山々まで、多様な地形と豊かな自然に恵まれています。三大奇勝にあげられる妙義山などは古くから人々の関心を集めていますし、また、見慣れた何気ない風景であっても、一度、故郷を離れた者にとっては特別に感じることもあるでしょう。
前橋出身の詩人、萩原朔太郎は、暗澹(あんたん)たる思いで乗った故郷へ帰る汽車で「まだ上州の山は見えずや」と赤城山を詠みました。その詩「帰郷」を書詩一体を目指した木村三山(きむら さんざん)による書で紹介します。髙橋常雄(たかはし つねお)による《故山春雪(こざんしゅんせつ)》の雪に覆われた赤城山は、前橋に生まれた彼にとってもやはり故郷を表すものでした。暗い空に浮かび上がる白い山は、心の拠り所かのように静謐(せいひつ)に満ちた空間を作り上げています。奥田元宋(おくだ げんそう)による《妙義(みょうぎ)》では、郷愁のような捉え方は無く、早春の青空に映える山容にフォーカスを当てており、色づきはじめた緑は模糊として煙るように描かれています。礒部草丘(いそべ そうきゅう)の《谷川岳(たにがわだけ)》では、晩年期の特徴である華やかな濃彩による重厚感とともに、対比的なモチーフの妙を見ることができます。「上毛三山(じょうもうさんざん)」で知られる赤城山 、榛名山 、妙義山、そして新潟県との県境に位置する谷川岳を画題とした作品の数々をおたのしみください。
コレクション展示作品目録(展示室7)(PDF395KB)
- 会期
- 2025年10月28日(火)から12月16日(火)
- 開館時間
- 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
- 休館日
- 月曜日(11月3日、24日、12月8日、15日は開館)、11月4日(火)、11月10日(月)から20日(木)、12月1日(月)から5日(金)、11日(木)
- 会場
- 展示室7
- 観覧料
- コレクション展示(特別展示「水野 暁 視覚の層 | 絵画の層」を含む)のみ
一般300円、大高生150円
20名以上の団体割引料金 団体一般240円、団体大高生120円
注:中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名、群馬県民の日(10月28日)に観覧される方は無料

