エカテリーナII世のセーブル磁器展
国立エルミタージュ美術館所蔵/サンクトペテルブルグ建都300周年記念
17世紀に中国や日本からヨーロッパに輸出された、景徳鎮や伊万里、有田といった磁器は、王侯貴族たちの間で高い人気を得ました。こうした磁器の持つ脆そうで優雅な細工、きめ細やかな皮膚感、そしてその材質が醸し出す錬金術的な神秘性は、ロココという時代へ入る18世紀のヨーロッパにあって、その嗜好と重なり、上流階級における磁器の膨大な需要とともに、マイセン、チェルシー、セーブルといった名窯を生み出し、西洋磁器の一時代を築いていきます。
なかでも本展で紹介するセーブル磁器は、1700年代初頭にパリ近郊のヴァンセンヌ窯で製作されていた磁器が前身で、1756年にヴァンセンヌからセーブルに移り現在に至っています。そしてセーブル磁器の歴史もこの移転によって確立されていきます。この時期、セーブル磁器はルイ15世や、その寵愛を受けたポンパドール侯爵婦人の積極的な援助の下、大いなる発展を見ます。セーブル磁器独特の青(ブルー・ド・ロア)や薔薇色(ロゼ・ポンパドール)を生み出していったのも、この時代でした。
18世紀中頃からのロシアのフランス文化愛好熱は、多くのセーブル磁器をロシアに持ち込みます。なかでもエカテリーナ2世のコレクションは、特筆に価するものでした。
本展では、こうしたエカテリーナ2世のコレクションである、浅浮き彫りの装飾を施した、有名な「カメオ・セット」を中心に、サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館が所蔵する、膨大なセーブル磁器コレクションの中から、18世紀セーブル磁器の歴史を代表する逸品95点(231ピース)を紹介します。
内容:「カメオの食器」シリーズ、「緑の食器」シリーズ、「中国風装飾の食器」シリーズ、「フリーズ・リッシュ模様の食器セット」、「キャベツの葉模様の食器セット」、「ヤマウズラの目模様の食器セット」・陶器彫刻、単品の磁器作品、エカテリーナ2世の肖像(織物)
- 会期
- 2003年4月1日(火)から6月8日(日)
午前9時30分から午後5時(ただし入館は午後4時30分まで) - 休館日
- 毎月曜日(4/28、5/5は除く)、5月6日(火)
- 会場
- 群馬県立近代美術館 展示室1
- 観覧料
- 一般:600(480)円、大高生:300(240)円
注:内は20名以上の団体割引料金
注:中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料 - 主催
- 群馬県立近代美術館/読売新聞東京本社/国立エルミタージュ美術館
- 助成
- (財)花王芸術・科学財団
- 後援
- ロシア連邦大使館
- 協力
- フィンランド航空
- 関連事業
- 学芸員による作品解説会
教職員のための作品解説会