コレクション展示:群馬の日本画家 Ⅰ
山種記念館の秋期の展示は、群馬県出身の日本画家の作品を二期にわたってご紹介します。群馬県はこれまで多くの日本画家を輩出してきました。本展はそうした群馬ゆかりの日本画家による、主に明治から昭和前期頃に制作された作品を展示しています。
近代南画の巨匠とされる館林生まれの小室翠雲(こむろ すいうん)は、《山水図屏風(さんすいずびょうぶ)》で金箔地に墨や淡彩を用い、中国風の山水を表現しました。南画における山水は胸中の理想郷であり、文人画、南画的価値観と作家の想いがこめられています。伊勢崎に生まれた礒部草丘(いそべ そうきゅう)は、日本の風景を叙情豊かに描く川合玉堂(かわい ぎょくどう)に師事し、風景画を得意としました。よく知られる、南房総での療養を機に描くようになった海景や、戦後、形態を面で捉えた濃彩の奥深い山景ではなく、幻想的な雰囲気を漂わせる《炭窯(すみがま)》や、南画の趣を残しつつも日本の里山を牧歌的に描いた《春暁(しゅんぎょう)》など画業初期の作品を展示しています。草丘と同門で写実的な表現で知られた児玉希望(こだま きぼう)に学んだ太田出身の福田元子(ふくだ もとこ)は花鳥画を得意としていました。若手画家として将来を嘱望されるも東京大空襲で没しました。今回はつつじの画稿を展示します。小室翠雲に師事した館林出身の岸浪百艸居(きしなみ ひゃくそうきょ)は、南画を基礎に大和絵などの装飾的な表現や明快な造形性を取り入れており、南画の枠にとらわれない自由な表現を試みています。近代に活躍した作家たちによる多彩な表現をおたのしみください。
コレクション展示作品目録(展示室7)(PDF178KB)
- 会期
- 2023年9月16日(土)から10月22日(日)
- 開館時間
- 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
- 休館日
- 月曜日(9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
- 会場
- 展示室7
- 観覧料
- コレクション展示(特別展示を含む)のみ
一般300円、大高生150円
20名以上の団体割引料金 団体一般240円、団体大高生120円
注:中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料