展示詳細

コレクション展示:マティス『ジャズ』

晩年、腸の病気のためベッドで横になることが多く、体力的にも油彩画を描くことが難しくなったマティスは、1943年頃から切り紙による作品の制作を始めます。自分で絵具を塗って作った鮮やかな色紙をはさみで切り抜く作業を、マティスは「色でデッサンする」とたとえました。『ジャズ』は、この手法で制作した切り紙絵20点を原画として、1947年にテリアード社が出版した版画集です。できる限り原画に近づけるために、マティスが使用したものと同じグワッシュ(不透明水彩絵具)を使い、ステンシル(形を切り抜いた型の上から刷毛やローラーで色を刷り込む技法)で刷られています。版画集に添えられたマティスのエッセイに、「いきいきして激しい響きをもったこれらの図像は、サーカス、民話、あるいは旅行の思い出が結晶してできたものだ」とあるように、作品には、道化師や玉乗りをするゾウ、空中ブランコなどサーカスにまつわるモチーフと、狼、イカロスといった童話や神話に登場するもの、タヒチで目にした礁湖のイメージが表されています。
『ジャズ』というタイトルは、切り紙による「色彩とリズムの即興」とも言える作品を、音楽のジャズにたとえて付けられたのでしょう。

コレクション展示作品目録(展示室4)(PDF516KB)

会期
2023年1月14日(土)から2月26日(日)
開館時間
午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日
月曜日
会場
展示室4
観覧料
コレクション展示のみ
一般300円、大高生150円
20名以上の団体割引料金 団体一般240円、団体大高生120円
注:中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料