展示詳細

コレクション展示:上毛三山をえがく 赤城・榛名・妙義

「上毛三山(じょうもうさんざん)」とは、群馬県にある赤城山(あかぎやま、あかぎさん)、榛名山(はるなさん)、妙義山(みょうぎさん)の三つの山の総称です。三山はそれぞれ複数の山々から構成され、県を代表する山となっています。人々の暮らしと共に在り、また山岳信仰の対象としても古くから親しまれてきました。
前橋出身の詩人、萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)の詩に「帰郷」と題する一編がありますが、彼が暗澹たる思いの中、汽車の車窓から「まだ上州の山見えずや」と詠ったように、山は故郷を象徴するものでもあるのでしょう。《故山春雪》の雪に覆われた赤城山は、やはり前橋に生まれた髙橋常雄(たかはしつねお)にとってまさに故郷を表すものでした。暗い空に浮かび上がる白い山は、心の拠り所かのように静謐に満ちた空間を作り上げています。《前橋敷島河原(まえばししきしまがわら)》では榛名山の複雑な稜線のシルエットと赤く染まる空、その色を映す利根川の流れが、木版画の柔らかな描線で表現されています。80年程前の夕暮れの風景ですが、今も変わらずそこに在り続ける山川によって、旅の版画家ともいわれる川瀬巴水(かわせはすい)が確かにこの地に赴いたことを実感させてくれます。《早春裏妙義(そうしゅんうらみょうぎ)》はメタリックな輝きを見せる空を背景に青や灰、茶褐色といった暗色で岩肌を描いた妙義山がそびえ、山裾に畑や人家といった人の営みが描かれています。画面の大部分を占める岩山は黒々とした力強い輪郭線がとられ、自然の雄大さや畏怖の念をも想起させます。それぞれの作家が描いた上毛三山の風景をおたのしみください。

コレクション展示作品目録(展示室7)(PDF162KB)

会期
2023年1月14日(土)から2月26日(日)
開館時間
午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日
月曜日
会場
展示室7
観覧料
コレクション展示のみ
一般300円、大高生150円
20名以上の団体割引料金 団体一般240円、団体大高生120円
注:中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料