群馬県立近代美術館
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コレクション
- 主な収蔵作品

日本近代美術コレクション
牛島憲之 
USHIJIMA Noriyuki, 1900-97
牛島 《五月の水門》
Floodgate in May

1950(昭和25)
油彩・カンヴァス
72.5×91.0cm

 牛島憲之は、1950年頃から好んで、水門や煙突、工場を題材とした、しっかりとした構築性を具え、そして叙情の魅力を放つ作品を次つぎと発表する。この作品でも、橋の向こう側に、水門のある土手が見える。水門の仕切りは半分開けられ、おだやかな水の広がりが画面手前に描かれている。「私は水が好きですね」と語る作者は、あまり綺麗ではなくて、しかも魚の住んでいそうなところが好い、よく描く水門も、よく魚を釣っていた場所だから好きだ、と述べている。  水面に映る土手や橋の光景に、橋げたや水門の落とす影が交錯して、画面からは、まさに五月(さつき)にふさわしい、明るいちょっと賑やかな響きが伝わってくる。その賑やかさは魚たちが潜む豊かな水面に似つかわしいものだろう。作者は水門という人工物に、急速な経済復興をとげる戦後日本の姿を予見したものといわれる。作者の洞察に満ちた眼差し。そのためか、ぽっかりと浮かぶ雲、シルエットと化した人物は、ユーモラスな雰囲気をもちながら、見る人に存在感を与える。