群馬県立近代美術館
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コレクション
- 主な収蔵作品

海外近代美術コレクション

パブロ・ピカソ
Pablo PICASSO, 1881-1973

《ゲルニカ・タピスリー》
 Guernica Tapestry

 1983
 タピスリー・ウール、木綿
 328.0×680.0cm

 *画像はありません。
 

 「ゲルニカ」とは、北スペインのバスク地方にある小都市の名称である。この町は、バスク人にとって深い意味を持っていた。バスクの人々は中世のはじめからこの町を首都と考え、彼らの独立精神と民主主義の象徴と考えていたのだ。1937年4月26日、独裁者フランコを支持するナチス・ドイツはこの町を爆撃する。  
 この作品にはピカソにおける二つの重要な象徴が描かれている。ひとつは中央の荒れ狂い逃げまどう馬であり、もう一つは画面左上に描かれた虚ろな目をした牡牛である。馬は人民をあらわし、そして牡牛は獣性と暗黒の象徴として描かれている。この二つの動物の対比に、ピカソがこの作品に込めた怒りと悲惨があるわけだが、ただ後にピカソが語っているように、この牡牛はファシズムを象徴しているわけではないらしい。だとするとこの作品は、戦争という人間性を抹殺した極限状況における、人間全体の残忍性、恐怖、悲惨さ、虚脱感をあらわしたものであり、我々人類に対するピカソの警告とみることもできる。  
 この作品は、有名なピカソの大作《ゲルニカ》(1937、マドリード、レイナ・ソフィア現代美術センター蔵)をもとにしたタピスリーの3番目のヴァージョンである。ピカソは第1番目(1955)のタピスリー制作後、その下絵に修正を加え、第2、第3ヴァージョン用の指示を加えた。それは使用される毛糸の染色に対する指示とタピスリーに縁をつける指示である。故に本作品にはブラウングレーの縁取りがなされている。因みに第2ヴァージョン(1976)にはブラウンレッドの縁取りがある。本作品の染色師は、第1、第2と同様、オービュッソンの染色師ピエール・シドラである。