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本県ゆかりの作家たち

湯浅一郎  YUASA Ichirō,1868-1931
湯浅一郎《室内婦人像》
《室内婦人像》
Woman in Interio

1930(昭和5)

油彩・カンヴァス
130.5×97.5cm
湯浅ゆくゑ氏・湯浅太助氏寄贈
 黒田清輝の指導の下、明治30年代に《徒然》 《画室》など意欲あふれる作品を残した湯浅一郎は、明治38年の暮れから4年間、油彩の本場ヨーロッパに留学した。スペインでベラスケスの模写に精を出した湯浅は、人物画こそ油彩の本道であり、日本が学ばなければならないものだという確信を持って帰国する。ところが日本の近代洋画の歴史は、湯浅が行おうとした地道な努力とは別の、性急で表面的な模倣の道を選ぶ。
 湯浅の晩年の作品であるこの作品は、画面右手前から光の差し込む室内で、揺りいすにくつろいで座り、新聞を読むゆくゑ夫人をモデルにしている。骨とう屋を回るのが好きだったという湯浅は、旅先でもさまざまなものを買い集めてきたようだ。本作に描き込まれた雑多な品々を見てもそのことがうかがえる。それにしても、これだけ数多くの物を描き込んでいながら画面が決して雑然としていないのは見事だ。ゆくゑ夫人の背後には変わった形の鏡が置かれ、そこにはこの作品を描いている湯浅自身が、画架を前にした姿で写っている。自画像をほとんど残さなかった湯浅は、晩年のこの作品の中に自らの姿をとどめた。湯浅が63年の生涯を閉じるのは翌年のことである。


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