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本県ゆかりの作家たち

山口薫 YAMAGUCHI Kaoru,1907-1968
山口薫《若い月の踊り》
《若い月の踊り》
Dancing under a Young Moon

1968(昭和43)
油彩・カンヴァス
100.0×80.2cm

 山口薫は、1967年ごろから体調を崩し、入退院を繰り返す。そんな中で描かれた作品には馬が頻繁に登場する。 馬は、牛と並んで以前から山口薫が取り上げてきたモチーフである。それは中学時代の絵日記にまでさかのぼることができ、両者とも古里の思い出と強く結びついている。牛は、新しい生命の誕生と母子愛を描いた《花子誕生》(1951年)に代表されるように、おそらくは生命力の象徴としての意味を持っている。愛娘、絢子とともに描かれることが多いのもそのためであろう。一方で馬は、少年期の乗馬の追憶だろうか、淡い光の中に浮かび上がるように、幻想的でノスタルジックに扱われる。 現在、高崎シティギャラリーに展示されている壁画《朝昼晩》(1954-55年)の画面左には、丸い月の下に馬が描かれているが、その場面は一日の終わり、「晩」を表している。このように馬は、満月と組み合わされて場面に登場することが多い。馬は、昼間活動した肉体を休息させ、精神を開放させる夜を象徴しているのだろうか。さらに突き詰めれば、馬は現実世界を越えた、精神世界の象徴ともいえるのではないだろうか。
 山口薫は、病中も描くことを止めなかった。描くという行為が、生活そのもであったからだろう。死が近づくにつれ、画面からは余計なものが削ぎ落とされ、すべてが記号化されていく。本作品にはもはや造形性や叙情性をことさらに高めようとする力みはなく、生と死を超越したところにある心象風景が、そのまま表されている。山口薫は、死を強く意識しながら、研ぎ澄まされた静謐な世界を描いた年、1968年の5月19日に、胃ガンのため60歳でこの世を去る。


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