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本県ゆかりの作家たち

山口薫  YAMAGUCH Kaoru,1907-1968
山口薫《ノートルダァム》
《ノートルダァム》
Notre-Dame

1954(昭29)
油彩・カンヴァス
99.5X91.7cm

 山口薫は、絵画にとって何よりも重要なのは素朴な生活感情の表出であるといつも考えていた。こうして、彼の作品では、牛や馬、森、沼、田圃など、彼が心から共感できる故郷の思い出につながるものや、彼の生活の周辺にある何気ないものが、豊かな詩情に育まれて大きく展開し、叙情あふれる画面へと高められていくのである。愛する家族も彼の作品にとって大切なモティーフの一つであった。それは彼の家族に寄せるあふれるばかりの思いから始まるのだが、やがて昇華し、生命あるものへの暖かく切ないほどの愛情を示す見事な造形詩となって私たちの前に現れる。
 この作品が描かれた年には、彼の子供たちはすでに少年期に達しているのだが、発想の源になったのは、まだ幼子であった子供と若い日の妻の姿であったと思われる。子供を抱いた妻の匂い立つような気品と、母と子の間に通うあまやかで暖かな愛情の絆への感動が、長い間彼の心の中で大事に育まれて、いつしか神聖な聖母子のイメージと重なっていったのであろう。しかし、「聖母子」は西洋美術の伝統の中で、中世以来、最も重要な主題として偉大な画家たちが描き続けてきたものである。ここには山口の自信に満ちた挑戦の姿も窺われる。この頃から、山口の描く人物には目鼻立ちがなくなった、造形上の必要と、愛するものへの描ききれないほどの思いを示す、彼のぎりぎりの表現だったのであろう。


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