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本県ゆかりの作家たち

 
鶴岡政男 TSURUOKA Masao,1907-1979
《落下する人体》
Falling Figure

1954(昭和29)
油彩・カンヴァス
91.0×72.5cm


*画像はありません。

 1907年に高崎に生まれた画家、鶴岡政男は、8歳のとき東京に移り、15歳から太平洋画会研究所で絵画を学びました。30歳で仲間とNOVA(ノヴァ)美術協会を立ち上げるも、日中戦争が勃発すると、召集により大陸に赴きます。このときの凄惨な戦争体験と、帰国後の空襲、そして敗戦直後の不況の記憶は、その後の鶴岡の芸術に大きな影響を及ぼしました。
東京大空襲でほとんどの作品を失った鶴岡は、戦後に画業を再開すると精力的な創作活動を展開し、《夜の群像》(1949)や《重い手》(1950)など、敗戦直後の心理状況を反映した作品を次々と発表します。1954年に描かれた本作品《落下する人体》もまた、その流れに連なるものですが、以前の作品に見られる肉体の不気味なデフォルメや暗く混沌とした画面にかわって、ここでは、四肢を広げ、回転しながら落下していく人体が幾何学的フォルムと明るい色彩で表現されています。
鶴岡は本作品について後にこうコメントしています。「空襲。花火のように美しい感じと、美しいと感じた自分の残酷さ。その矛盾を絵にしました」。鶴岡は本作品の抽象表現を通して「美しいと感じた自分の残酷さ」という自己の矛盾した感覚を、正常と異常が同居する不可解な人間心理へと普遍化しようとしたのでしょうか。平明な中に謎めいた輝きが宿る色彩も、バランスを失った感情と理性の不思議な均衡を暗示しています。常人が目をそむけるような人間性の深淵も見据えずにはいられない、鶴岡の表現者としての業(ごう)のようなものを感じさせる作品です。
(美術館ニュースNo.120より)


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