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本県ゆかりの作家たち

南城一夫  NANJO Kazuo,1900-1986
南城一夫《仔山羊のくる部屋》
《仔山羊のくる部屋》
Room with Little Goat Approachin

1969(昭和44)
油彩・カンヴァス
91.0×65.5cm

 カンヴァス裏に「月明の子山羊」と記されている本作は、第46回の春陽展にその題名で発表されたものである。その後、1977年の銀座・松坂屋での個展の際に「仔山羊のくる部屋」と呼称されるようになったものと思われる。その個展のカタログに掲載された小川正隆氏の「南城絵画の魅惑」という文章の中で、制作に立ち会っていた人の話として、本作に関する興味深いエピソードが紹介されている。それによると、はじめのころは室内を示す壁も床も描かれず、木立の中に仔山羊がいる風景的な画面であったが、最後の段階になって、この絵の前景となる室内の情景が一気に描きあげられたという。作者の制作の秘密に触れるエピソードと言えよう。
 53年の作品で本作と構図の似ている《兎の来る部屋》(72.8×60.6cm)と題された作品がある。本作の制作は、その移ろい行くイメージが、先行作品の造形と重なったものであろうと思われる。
 遅筆と言われ、なかなか作品が完成しないために「幻の画家」などとも呼ばれた南城一夫は、納得しなければ作品を塗りつぶしてしまう気難しさを持ち、内なるポエジーと造形表現との間で苦心を重ねた画家である。長い時間かけて生み出された作品のマティエールは、何層にも重ねられた絵の具の輝きをたたえながら、堅牢で奥深い美しさに溢れている。


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