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本県ゆかりの作家たち

小室翠雲  KOMURO Suiun,1874-1945
小室翠雲 《春雨蕭々》

小室翠雲 《春雨蕭々》
《春雨蕭々》
Gentle Spring Rain

1920(大正9)
絹本着色・六曲一双屏風各
168.0×373.2cm

 春の細雨が降る中、驢馬に乗った文人らしき人物が供を連れて橋を渡る。どうやら「水態山容入静観」と書かれた板を柱にかかげる楼門へと向かっているらしい。雨を含んだ柳の枝が幾重にもかさなり、視線を画中へとやさしく誘う。そして、文人よろしく水面に落ちるしずくの音に耳を澄まし、しばし新緑に身をひたす。
 当時の雑誌はその点を次のように伝えている。「自然の情趣を取り入れたのは嬉しい。柳條煙れるさまや、水波ゆるやかにたゆたふ態など、全く従來の南畫の旧套を脱してゐる」(石川宰三郎『新公論』1920年11月号)。
 明治期の南画は形骸化したといわれるが、大正期に入ると、今村紫紅や萬鐵五郎らによって、南画の主観的な表現が注目され、さらに、翠雲も加わることになる日本南画院では、伝統にとらわれない様々な変革が試みられる。本作品は南画院結成の前年、第2回帝展に出品された、翠雲の代表作であるとともに、近代南画の模索の一端を示す作品であるといえる。


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